物件の購入を決め、金融機関に住宅ローンを申し込んでから融資を受けるまでの手続きについて一連の流れを把握しておきましょう。
こちらでは住宅ローン手続きの流れ、かかる時間、必要な書類、そして手続きにかかる費用についてご説明します。
住宅ローンの手続きの流れ
住宅ローン手続きや住宅購入の契約から住宅ローン実行までがどのように進むのかを把握しておきましょう。
手続きが完了するまでには最短でおおよそ1ヶ月程度ですが、意外に時間がかかるケースもあります。
事前に流れをきちんと把握して、必要な書類なども手際よく準備しておくようにしたいものです。
特に注意したいのは、住宅ローンの金利は申込時ではなく、融資の実行時の金利が適用されることです。
0.不動産の売買契約
購入する住宅物件を決め、宅地建物取引主任者立会いのもとで、不動産会社と物件の売買契約を行います。
ここでは売買契約書、重要事項説明書への署名捺印、手付金の支払いが必要です。
1.事前審査
住宅購入が決まったら、金融機関へ住宅ローンの事前審査を申し込みます。ここからが実際の住宅ローンの手続きになります。
不動産会社がそのまま書類などを用意して、手続きを行うことも多いですが、最近では各金融機関がweb上で事前審査を行うことも普通になっていますね。
また、売買契約書の締結前、住宅購入を決断して不動産会社に申し込みを行う段階でも事前審査の申し込みは可能です。
事前審査で注意しておきたいのは、事前審査に通過したからといって、それは金融機関が「融資をする」ということにはならないことです。
事前審査はあくまで本審査前の手続きにすぎません。
事前審査の通過は、金融機関からの「本審査を受けて良いですよ」という意味合いであると理解しておきましょう。
2.本審査
売買契約を締結し、金融機関の事前審査の結果が承認となれば、本審査です。言い換えますと、金融機関へ正式に住宅ローンの申し込みをすることになります。
事前審査と本審査では、金融機関が確認する内容は異なります。
本審査の手続きは、金融機関によって異なりますが、郵送されてきた必要書類への記入や、申込者が準備しなければならない書類(例.本人確認書類、収入や勤務先に関する書類、住宅ローン以外の借り入れ状況に関する書類など)を揃えて、金融機関に本審査の申し込みを郵送などで行います。
また、団体信用生命保険(団信)の手続きもこの時に行います。
団信については下記の記事で詳しくご説明していますので、ご覧ください。

無事に本審査が完了して通過すれば、いよいよ住宅ローンの契約です。
住宅ローンの審査については以下の記事で詳しくご説明していますので、ごちらもご覧ください。

3.契約(金銭消費貸借契約)
金融機関と住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)を締結します。
実際の住宅ローンの金利や融資実行の日取りものこの時に決まります。
4.融資実行
金融機関による借主への融資が実行され、借主の金融機関口座に融資金が振り込まれます。
実行後の住宅ローンの返済は、借主が指定した金融機関の口座から引き落としになります。
住宅ローンの手続きにかかる時間
上記で見てきた住宅ローンの事前審査から融資の実行の各段階にかかる時間の目安はそれぞれ下記のとおりです。
- 事前審査: 数日~1週間
- 本審査: 1~2週間
- 契約~実行: 1週間
上記は各金融機関によってそれぞれの段階でかかる時間に違いがあります。
ですから、住宅ローンの融資実行までは最短でも申込から1ヶ月程度は見ておいた方がよいでしょう。
このことは、申込時と融資実行時に適用される住宅ローンの金利が変わる可能性があることを意味しますので注意が必要です。
例えば、住宅ローン手続きを進めていて、手続きが月をまたぐようですと、金融機関の住宅ローン金利は変わります。
もちろん変化の幅が著しく大きいことは考えにくいですが、住宅ローンを借りようとか、借り換えようと決意した金利でなくなってしまう可能性があることは理解しておきましょう。
そのためにも、スムーズに手続きが進むよう、必要な書類などの準備は手際よく行いたいものです。
住宅ローン手続きの必要書類
住宅ローンの手続きに必要な書類は、大きく分けると「本人確認書類」「収入確認書類」「物件確認書類」「他の借入確認書類」の4つになります。
本人確認書類
住宅ローンの借主が住宅ローン申込書に署名捺印した人物と同じ人物であるのかを確認するために必要な書類です。
住民票
借主が住んでいる市区町村の役場から入手します。発行後1ヶ月以内のもの。
運年免許証またはパスポート(コピー)
借主が保有しているもの。有効期限が切れていないか注意しましょう。
印鑑証明書
借主が住んでいる市区町村の役場から入手します。発行後1ヶ月以内のもの。
健康保険証(コピー)
借主の勤務先が加入する健保組合などから交付されたもの。
実印
本申込や契約の際に押印します。
収入確認書類
住宅ローンの利用者が将来にわたりローンの返済を滞りなく行えるかどうかを金融機関が判断するための書類です。
源泉徴収票、住民税決定通知書または課税証明書
給与所得者の方の確認書類。源泉徴収票は勤務先から、住民税決定通知書または課税証明書は住んでいる市区町村の役場から入手します。
金融機関は、源泉徴収票に記載された1年間の総支払額を住宅ローンの審査の際に判断材料に用います。
住民税決定通知書または課税証明書は、源泉徴収票に記載された金額の裏付けを取るために利用されています。
確定申告書、納税証明書(その1・その2・その3の2)
自営業者の方の確認書類。納税証明書は税務署から入手します。
物件確認書類
住宅ローンの対象になる物件の情報、例えば、土地の面積や形状の図面などに関する書類です。
売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書、土地登記簿謄本、建物登記簿謄本、公図、地積測量図、建物図面
登記簿謄本などは法務局からの入手になりますが、たいていは不動産会社の方で入手して用意してくれます。
他の借入確認書類
収入確認の書類と同様に、金融機関が住宅ローン利用者の返済の能力を判断するための書類です。
現在借入中のローンの返済明細表
例えば、自動車ローンやキャッシングを利用している場合は、その返済の明細表を準備します。
現在借入中のローンの返済用口座通帳
自動車ローンやキャッシングなど、現在利用しているローンの過去1年分の状況が分かる返済用の通帳を用意します。
その他、住宅ローンの借り換えの場合は、現在利用している住宅ローンの返済明細表と通帳も必要です。
住宅ローン手続きの費用
事務手数料
住宅ローンの事務手数料には2種類あります。
1つは、3~5万円(+消費税)程度を一括で支払うタイプで、もう1つは融資金額×2%というような融資金額に応じたタイプです。
一括で支払うタイプは問題ないですが、融資金額に応じたタイプの場合は、住宅ローン自体が高額な取引ですから注意が必要です。
例えば、3000万円、4000万円の住宅ローンで融資金額に応じたタイプ(2%)の場合は、事務手数料だけで60万円、80万といった高額になりますから注意が必要です。
一般にメガバンクなどの金融機関は一括タイプで、ネット銀行などは融資金額に応じたタイプが多いです。
もちろん、これで一概にネット銀行の住宅ローンが利用しにくいなどということはなく、ネット銀行ではその分金利が低かったり、保証料が無料だったりと多くの別のメリットがあります。
どの金融機関を利用するにしても、金利の低さにだけ目を奪われて後で後悔しないように事務手数料がどのような金額になるのかは事前によく確認するようにしましょう。
印紙税
契約書(金銭消費貸借契約書)に添付する印紙の代金です。融資金額により次のようになっています。
例.融資金額:印紙代で記載
- 100万円超~500万円以下:2000円
- 500万円超~1,000万円以下:10,000円
- 1,000万円超~5,000万円以下:20,000円
- 5,000万円超~1億円以下:60,000円
登録免許税
住宅ローンの抵当権の設定登記には登録免許税がかかります。
費用としては借入額の0.4%とお考えいただければ良いですが、床面積など一定の要件を満たすと税率が軽減(0.4% → 0.1%)される措置もあります。
司法書士手数料
司法書士が、住宅ローンの対象である住宅や土地の抵当権設定を法務局で登記申請することに対して支払う報酬です。
金融機関によって異なりますが、6万円~10万円程度です。
他の費用
上記の他に、ローン保証料(事前に一括で支払う外枠方式の場合)、火災保険保険料、印鑑証明書や住民票などの発行手数料がかかります。
住宅ローンの火災保険については下記の記事で詳しくご説明していますので、ご覧ください。

しっかり準備して手際よく進めよう
こちらの記事では住宅ローンの手続きの流れなどについて見てきました。
管理人の経験では、1ヶ月程度の間に2度の審査(事前審査、本審査)や必要な書類の準備など住宅ローンの手続きは結構神経を使います。
特にネット銀行などは丁寧に手続きのサポートもしてくれますので、手際良く進めて無事に住宅ローンが実行されるように進めましょう。
また、事務手数料についても事前にきちんと把握しておくようにしましょう。